アンガーマネージメントから学ぶ部下への正しい叱り方 |岡山、広島、福山の人材支援、IT化支援の株式会社シーズ

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アンガーマネージメントから学ぶ部下への正しい叱り方

 2018年12月11日に開催された『アンガーマネージメントセミナー〜怒りの感情と上手につきあうために〜』(講師:コンサルタントネットワーク株式会社 中村恵美氏)をご紹介します。

 

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アンガーマネジメントについて

「アンガーマネジメント」という言葉は皆様一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「アンガーマネジメント」という言葉を聞くと、「怒らないこと」と捉えている方が多いようです。しかし実際の意味は、「怒りで後悔しないこと」「怒る必要のあることは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らないようにすること」だそうです。 

そもそも「アンガーマネジメント」は、1970年代にアメリカで生まれたとされており、怒りの感情と上手に付き合うための心理教育、心理トレーニングです。最初は受刑者の教育プログラムとして始まり、その後学校やスポーツ界で教えるようになり一般化されました。2000年の後半に日本に入ってきた後、2011年に本格的に日本での「アンガーマネジメント」の講習が始まりました。今では、企業研修、医療福祉の虐待防止、青少年教育、人間関係のカウンセリング、アスリートのメンタルトレーニングなどの分野で幅広くアンガーマネジメントは活用されています。その中でも企業研修の需要は高く、多くの企業でアンガーマネジメント研修が導入されており、管理職研修、コミュニケーション研修、パワハラ研修、メンタルヘルス研修などテーマは様々です。

 

 

筆者がセミナーに参加したきっかけ

…ちなみに、筆者がこのセミナーを受講したきっかけがあります。
それは、「昔、後輩を感情的に怒りすぎてしまい、それが理由で後輩が大きく傷がついてしまい、自分自身も後悔してしまったこと」があるからです。

筆者は、前職で広告営業をしており、入社2年目になり、後輩が沢山入って来る中で教わるより教えることが多くなりました。当時、「後輩たちは入社後すぐに仕事が出来るようになって当たり前!」と思いすぎて、相手の気持ち・行動により添えず、自分が忙しい時・いらいらしているときに感情のコントロールが鈍くなってしまっていました。
その結果、ある一人の直属の後輩を追い込んでしまいました。。

そんな過去があり、今回のセミナーに参加し、「怒りと上手な付き合い方」、「部下に対しての叱り方」に関して受講してみました。
今回はそんな過去の経験を踏まえ、セミナーで学んだことを中心にご紹介します。

 

 

まずは「怒り」について

1. 怒りの性質

怒りは第2次感情と言われています。
1次感情としては、不安・つらい・苦しい・痛い・嫌だ・疲れた・寂しい・虚しいなどネガティブな感情です。1次感情が2次感情の怒りへと変わっていきます。そして身近な対象ほど怒りは強くなり、高い所(強い者)から低い所(弱い者)へ流れ、伝染しやすいです。逆に怒りがエネルギーになりプラスに働く場合もあります。

それでは私たちを怒らせる怒りの正体は何だと思いますか?
それは【べき】という言葉です。

理想と現実でギャップが生まれることによって怒りが生まれます。
それは、本人にとっての正解の「べき」にずれが生じた時、人によって物事の程度が違うため「べき」にずれが生じた時、変化する時代・立場・環境によって「べき」にずれが生じた時です。
会社、上司、後輩、男性、女性、親、子供、ルール、時間などにおいて自分なりのこうある「べき」という概念を無くして相手の気持ちを理解し怒りを抑えることが大事です。

当時を振り返ってみると、筆者は先輩や上司から詰められた時に、後輩にあたりがちになっていました。また、自分の仕事や考えが正しい、当たり前と思っていたので、【べき】という言葉が筆者を支配していたようも思えます。後輩の言動、やり方、考え方の一つ一つが違うと全て否定していました。。

 

2. 怒りの種類

1. 強度が強い … 攻めても攻めても許せないくらいの強い怒り
→ 1度怒ると中々止まることがなる、また強く怒りすぎるため職を失うまでに発展することがある。

2. 持続性がある … ネチネチネチネチするタイプの怒り
→ 精神的、健康的に良くない怒り。テロや紛争など何世代にもかけての怒りはこのタイプだと言われてり、根に持ち、思い出し怒りをよくする傾向がある。

3. 頻度が高い … しょっちゅうイライラ、カチンとくる頻度が高い怒り
→ ライフステージによって変わる。
ex) 結婚・出産などを経験すると怒りっぽくなる、部下を持つと怒りっぽくなるなど。

4. 攻撃性がある … 他人を傷つける、自分を傷つける、モノを壊すなどの怒り
→ 最も良くないと言われる怒り。

人によって、または置かれている環境によって怒りの種類が変わると思います。筆者の場合、3の怒りの頻度が高いです。また怒りの強度が強くなると4の攻撃性に変わり、この状態で当時は、後輩に当たっていました。。

 

 

「怒り」をコントロールする3つ方法

1. 衝動のコントロール

怒りの感情のピークは長くて6秒と言われています。
「怒った」ときに一番してはいけないのは、「反射」です。
ex) 反射的に殴る、反射的に暴言を吐くなど

怒りを感じたときは、6秒我慢してみてください。

6秒待つためには、手のひらに怒りを書いてみる、頭の中で6秒カウントしてみる、呪文を唱える、その場から離れるなどの対処法を取ってみてください。

 

2. 思考のコントロール

三重丸のゾーンを思い描いてください。
① 許せるゾーン
② まあ許せるゾーン
③ 許せないゾーン

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大事なことは
① 許せるゾーン → 広げる
② まあ許せるゾーン → 安定させる
③ 許せないゾーン → 許せないゾーンを相手に見せる
ことです。
これにより、怒っている相手に対して怒りの正当性を理解してもらいやすくなります。

 

3. 行動のコントロール

怒りの原因になる物事には、コントロールできることとコントロールできないこと(交通渋滞等)があります。

◎重要でコントロールできる … すぐ取り組み、いつまでに変えるかを具体的に考える。
◎重要だがコントロールできない … 状況を受け入れて、具体的な対処を考えて実行する。他の選択肢を探す。
◎重要ではないがコントロールできる … 余力があるときに取り組む。
◎重要でなくコントロールもできない … 放っておく。

これにより、怒りの原因の中で、どこに時間を割くべきかを考えられるようになります。

 

 

部下への上手な叱り方

怒りについて理解したところで、ここからは部下への叱り方の紹介をします。

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重要なポイント

ここで重要なのは、相手を感情的に怒らないことです。
「説得」するのではなく、相手が「納得」できる叱り方をしてください

・「説得」は、上司の考えを部下に理解させようとすること = 上司の「べき」を押し付けること
・「納得」は、部下が上司の考えを聞いて「なるほどな」と腑に落ちた感覚であり、部下が自分で決めたという場面を作ること = 部下の「べき」が広がる瞬間のこと

相手が納得できれば、相手の行動が変わります。

 

部下が「納得」するための叱り方5ステップ

◎ステップ1:準備 – 叱るタイミングと場所を考える
→ 叱るタイミングはその場その時
→ 毎回個室に呼んだり、大勢の前で叱ったりすることはNG
→ 感情がエスカレートしてしまう可能性があるので、メールでは怒らない

◎ステップ2:事実の確認 – 主観を入れない
→ 最初は事実確認のみ、その後に本当の気持ちの確認する

◎ステップ3:感情の共有 – 自分の本当の気持ちを伝える
→ 事実確認ができたら、次はそれに対して自分が何を思ったかを伝える

◎ステップ4:望ましい行動の共有 – 具体的な行動
→ 気持ちを伝えたら改善すべき具体的な行動を示す

◎ステップ5:メリット共有 – 最後は相手を快い気持ちに
→ 最後は励ましたり、褒めたりして相手の気持ちが快くプラスの感情で終われるようにする
ex) 「Aさんの○○が改善されると、みんなからより信頼されるようになるよ。」

 

部下との信頼関係を築くために

◎モチベーションがあがる承認をしてあげる=褒めてあげる
【重要ポイント】
1. 褒め殺しはだめ
2. 細かい事実を伝える
3. タイミングよく褒める
4. 3つ褒めて1つ叱る

 

◎「ダメ出し」ではなく「ヨイ出し」をすることを心がける
【方法】
1. だめな人のだめなところを書き出す
2. だめなところと同じ分その人の良いところを書き出す
→ 語彙を増やして褒め上手になる=相手の欠点をポジティブシンキングリフレーミングで鍛える

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※模範解答は下部に記載しております。

 

その他で有効的なポイント

◎ サンドイッチ法式叱り方
(+)→(−)→(+)の順番の内容で話す = 肯定・承認(+)→課題の提起(−)→勇気づけ(+)

◎ 使ってはいけないNGワード→言い換えワード
・なんで? → どうしたら〜(提案)
・いつも〜 → あのとき〜(具体的に)
・YOU+否定言葉(相手を責める) → 行動改善提案(具体的に)

◎ 使ってはいけない否定
・部下の能力を否定
→ 上司にとっては簡単でも部下にとっては難しいケースもあることを理解する。まずは相手基準で考える。

・部下の可能性(伸びしろ)を否定
→ 可能性を考えるのは本人。

・部下のバックグラウンドを否定
→ 学歴や家庭環境など相手のバックグラウンドを否定することは相手の過去を否定することになるため、相手に思いが伝わらない。

 

 

アンガーマネジメントのまとめ

・イラッと来たときは「6秒」待つ

・「怒る」ことは「悪いこと」ではない自然な感情。怒ったほうがいいかどうか「線引き」する

・その「怒り」がどこからきているのか「第一次感情」にフォーカスしてみる

・「過去と他人」は変えられない=未来と自分は変えられる

・「人は変えられない」が「自分が変わる」ことで「人が変わる」ことはある

・「笑顔」と「笑声*1」で接することで周囲にプラスのエネルギーが広がっていく

*1:笑顔で声を出す

 


セミナーに参加希望の方、講演をしてほしい企業様、アンガーマネジメントについて詳しく知りたい方
などアンガーマネジメント協会のHPをご参照ください。
【HP】https://www.angermanagement.co.jp/
【書籍】https://www.angermanagement.co.jp/books

 

 

アンガーマネジメントを受講してみての感想

今回、前職での後輩との人間関係がきっかけでセミナーに参加いたしましたが、受講してみて「アンガーマネージメント」が役立つ場面は様々あると思いました。例えば子供・パートナー・親など家族への怒り、自分への怒り、友人への怒り、会社の上司・後輩への怒り、健康への怒りなどがあると思います。
また、改めて感情のままに動いても誰も得をすること一切ないと分かりました。どのような状況であれ、物事が冷静に見られるようになり怒りをコントロールしなければいけないと思いました。本日教わったことは常に心に留めておき、日常生活に活かしていきます。

 

 

 

※ポジティブシンキングリフレーミングの模範解答

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