「UIターン転職」が採用市場に定着して随分と経ちましたね。
今では、採用に関わるほとんどの人がUIターン転職という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
UIターン就職・転職は企業にとっても魅力はとても大きく、一人を採用するだけで会社の業績を変えてしまう可能性もあります。
今回はそんなUIターン転職の知識とPR方法についてご紹介します。
すっかり市民権を得た「UIターン」ですが、それぞれの意味をみなさんはご存知でしょうか。何となくイメージは分かりますが、採用担当者ならしっかりと知っておきたいですよね。おまけで、最近よく耳にするようになったJ、Oターンについても紹介します。
「Uターン転職」は地元に転職すること
Uターン転職は正式には「Uターン現象」と言います。進学や就職を機に、一度地元から出て都市圏に移った人が再び生まれ故郷に戻る現象です。車のUターンのように地図の上でアルファベットの「U」を描くように移動することからそう呼ばれています。
「Iターン転職」は地元ではない地方に転職すること
「Iターン転職」は、地元ではない地方に移住を希望して就職、転職すること。言葉が生まれたのはUターン転職よりも後で、地図上で一直線の移動に見えることからIターン現象と名づけられました。ちなみに元参議院議員の小山峰男氏がキャッチフレーズとして造った造語だそうです。
「Jターン転職」は地元近隣の中規模な都市に転職すること
いま、UIターンの後ろに並んで付けられることが多いのがアルファベットの「J」です。Uターンと少し違って、生まれ故郷にではなく、近隣の中規模な都市に移住を希望する人のことを言います。完全に戻らないから「U」ではなく「J」なんですね。企業数や生活環境を考慮し、Jターンに落ち着く転職者も増えています。
「Oターン転職」は再び都市圏に戻って転職すること
採用担当者として注意しなければならないのは、「Oターン転職」です。あまり聞き慣れない言葉ですが、なんとなく意味が分かる方も多いのではないでしょうか。そう、Oターン現象とは一度UIJターンしたものの、なんらかの理由で再び都市圏に戻ってしまうことを言います。理由は色々とありますが、UIJターンの失敗事例として表現されることが多く、会社としては回避しなければいけない現象です。
それでは、具体的にUIターン希望者を獲得するのに企業側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
離職率が低い
家族や親せき、友達などがいる安心感や生活の満足度が高いため、離職率が低い傾向があります。また、Uターンする際に「一生、地元にいる!」という固い思いを持ってくる人が多いことも離職率を下げる要因になっています。
転職先の決定に「収入」をそれほど重要視していない
面白いデータがあります。
2017年8月に大手転職求人サイト「マイナビ転職」が発表した「Uターン転職に関する実態調査」によると、Uターン転職者の半数以上が「年収は減ったが満足」と回答しているのです。(シーズは「マイナビ転職」の正規代理店です。)
実際、全体の51%が「前の仕事より年収が減少した」と回答。下がり幅は「11~20%」が最も多く、中には31%以上減った人もいました。それでも全回答者の半分以上がUIターン就職して満足と答え、不満な人は14%ほどだったのです。
大都市圏と比べると地方は給料や待遇が劣ってしまうのは仕方ないと、Uターン希望者自身が理解していること。そして何より収入よりも、住みやすい環境を重視していることは、中小企業の採用活動にとってとても大きなメリットになります。
新たな企業文化、人脈の構築
UIターン希望者の中には、前職は大企業に勤めていたり、最先端の知識を持った人も珍しくありません。
そんな人材を獲得すれば、地方の中小企業などでは得られにくい組織運営のノウハウや業務の効率化、業界の動きなどを自社に取り入れる大きなチャンスです。新しい発想や新商品のアイデアにもつながりやすいでしょう。また、彼らがこれまで築いてきた人脈も魅力の一つ。物理的な距離の問題などでこれまでアプローチできなかった企業、人と関係を築けるかもしれません。
マンネリを打破
これまで地元の人しか採用してこなかった地方の企業には、新しい風を吹かせるきっかけになります。
既存の社員に良い意味で緊張感を持たせることも出来ますし、結果的にモチベーションが向上し、職場の活性化を図れます。
魅力をたくさん持ったUIターン転職の希望者に、自社の採用試験に応募してもらうにはどうすれば良いのでしょうか。当然、これまでと同じようにしていたら同じ地域からしか集まりません。希望者に自社を知ってもらう有効手段をご紹介します。
UIターンイベントに出展する
UIターンは採用活動、転職活動ともに採用市場から注目されているので、人材会社などはUIターン専門の合同説明会やイベントを定期的に開催しています。各自治体主催のイベントも多く、出展料も比較的安いケースも多いので参加する価値は高そうです。ただし、出展枠が広くなく、時期も限られているため早めのスケジュール確認が必要です。
ちなみに説明会、イベントは大きく分けて2種類あります。
1つは東京や大阪などの都市圏に出張して行うもの。
もう1つは地元で行うもの。
前者は民間主催のイベントに多く、時期も幅広いです。後者は都道府県以下の自治体がお盆や長期休暇で帰省している人を狙って開くケースも多いようです。
ウェブを活用する
前述したように、UIターンに力を入れている人材会社が増えているので、UIターン希望者向けにPR枠を設けているサイトもあります。求人広告出している企業の場合は、「UIターン希望者向けに一言入れてください」と頼んでみるのも良いかもしれません。
またそれと同じくらい大事なのが、自社ホームページの人材募集、採用情報ページの充実です。UIターン希望者は地元企業を調べるときに、まずはホームページから入る人がほとんどです。整備されたホームページを見てもらうことで、採用活動の周知とともに、自社に好印象を与えることができます。
面接でUIターン希望者の心をつかんで、採用までこぎつけるにはどのような対応が効果的なのでしょうか。
その第一歩は、応募者が「なぜUIターンを希望しているのか」という理由を知っておくことです。
受け入れる側は意識しにくいのですが、都会の便利な生活を止めてでも、地元に帰ってくるのは軽い気持ちでは踏み出せないものです。
そこで、UIターン希望者の一般的な志望理由をまとめてみました。
家庭の事情
30代後半以上のUターン希望者の大きな理由が「家庭の事情」です。親が亡くなったから実家を守らないといけない、病気や認知症になったから介護、看護が必要になったという致し方ない理由でUターンを望む人も多いです。仕事とプライベートの両立を図るために戻ってくるという理由です。
通勤時間・ラッシュなどのストレスに嫌気が差す
意外とUIターン転職のきっかけになるのが「通勤」です。ずっと地方にいる人は気づきにくいのですが、東京や大阪の異常な通勤ラッシュが苦痛でたまらない……といった人は一定数います。また地方と大都市圏で働く人の通勤時間の差は倍以上あるというデータもあるので、より時間を効率的に使いたいと思う人がUIターン転職を検討する傾向もあります。
キャリアアップのため
キャリアアップと聞くと、大きな会社に転職したり、逆に地方から大都市の会社に移ることを想像する人も多いのではないでしょうか。もちろん、そういったケースも多いのですが、地方の方がキャリアアップを図りやすいと考えてやってくる情熱のある人も少なくありません。
大都市圏では同じレベルの人材はいても、地方には足りていない。鶏口牛後は言い過ぎかもしれませんが、より自分を求めていてくれるところで実績を挙げようとする人にとってもUIターン転職は大きな選択肢になり得ます。
最後にこれまでのご紹介したノウハウ、事例を参考に面接や応募時に意識するとUIターン求職者にウケの良い自社PRをまとめました。
自社の環境や仕事内容を振り返ってみればすぐにできることですので、今日から実践してみてはいかがでしょうか。
「入社するとこんなことができる!」とPR
キャリアアップや地域貢献など情熱を持っている人には、会社としてどれだけその応募者に期待しているかをPRするのが効果的です。入社後にやってもらいこと、応募者に教えてもらいたいことなどを面接時に伝えると、応募者のやる気を引き出すことが出来るでしょう。また、応募者自身も会社を成長出来る場だと考えてくれる可能性が高まります。
ワークライフバランスをPR
特に介護や子育てが目的でUIターンした人には効果があります。
特に、会社の残業時間や休日数などを重視している場合が多いので、面接時に応募者から質問される前に、こういった情報を伝えると、好印象を与えられます。
但し、良くみせようとして、嘘の情報を伝えるのはNGです。応募者の入社後の離職率が高まりますし、最悪、法的な措置をとられる場合もあります。十分に注意しましょう。
UIターンの実情をPR
UIターンの希望する応募者は、年収が下がる、交流関係狭まるなどの不安を持っているも事実です。
それを敢えて面接の場で説明すると、応募者の信頼度を上げられます。
「年収が下がる不安」については、 大都市と比べると地方の賃貸がかなり割安で、給与が下がったとしても生活水準は上がる可能性もあるということ。「交流関係が狭まる不安」については、移住者のコミュニティがあること、地域の行事に参加すると仲間が作りやすいなどと伝えるのも効果的です。
仕事や人材の東京一極集中が大きく取りだたされていますが、UIターンを望む転職者も一定数います。
労力を考えると地元採用の方が取り組みやすいかもしれませんが、「今までにいない人材」を採用するなら優秀な人材も多いUIターンの転職者はかなり重要です。
UIターン転職者と同じように会社が新たな一歩を踏み出すためにも、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。
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